日米資格4冠王の超スピード学習法
- 作者: 内海英博
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2002/09
- メディア: 単行本
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釣りっぽいタイトル(笑)。本とはそういうものだ。
知識集約産業で働く人がどのような勉強法を取っているのかが知りたくて読みました。
目次
- 片田舎からの成り上がり人生
- 内海式「フレキシブル」学習法とは何か
- 実践!内海式「超スピード」攻略法
- 米国公認会計士&米国弁護士「ダブル」取得法
- 「超スピード合格」をサポートする26のヒント
筆者は日米の弁護士と日米の会計士の資格を持つ人で、その資格を取得するに当たっての勉強法について書かれた本。最近読んだ記憶の本で書いてあるようなことが実践されているなあと感じました。
へえと思ったこと
特にそれを思ったのは、日本の司法試験の勉強について書かれている所、具体的にはカードに解法を身につけたい問題を書いておいてそれをひたすら色々な視点で見るという所です。
問題集はそれぞれ3冊買っていて、普通の勉強用の1冊と、このカードを切り取る用で2冊(本は両面刷りなので、必要なも問題を全てカードにするには2冊必要)
覚えたい問題を見つけてはカードを作って、色々な観点でちゃんと説明出来るようになったら捨てていく。
ポイントになるのは
- 繰り返し見る効率を上げる
- 色々な観点で説明する
ということだと思います。
記憶するには、(適切なタイミングで)繰り返し見るしかないです。じゃあ、そのコストをいかに下げるか、ということがとても重要。ただ、それだけだと丸暗記になってしまって、色々な状況における判断で使えるような知識にはならないので、色々な観点で見直す。正しい工夫だなあと思いました。
テストファースト?
あと感じたのは、高レベルな資格試験におけるテストって、「人材が満たすべき仕様」を的確に表しているのではないかということ。(その仕様はあくまで能力面に限る)。プログラミングにおけるテストコードがそのコードの仕様を最も的確に表すものであるように、資格試験(の傾向?)自体が人材の能力の仕様になっているんじゃないかと。その点、IPAがやっているソフ開の試験とかって、全然仕様を表現できていない気がしました。ソフトウェア開発者の本質って設計をすることとコードを書くことです。しかし、ソフトウェア開発技術者の試験はプログラミングの周辺的な知識の量を見ているだけ。その点、弁護士の仕事の本質は、存在する法律と照らし合わせて論理展開することであり、その力をちゃんと問えているテストなんじゃないかと思います。
教育をテストファーストで行う
1点目は、教育を検討するにあたってまず最初に「こういうテストをパスする人材を育成する」ということを明確にしてからカリキュラムを考えると良いのではないかということです。従来の教育では、作りたい人材像を抽象的に書いて、なんとなく網羅性のありそうな教材をそろえて、説明して、説明した内容に関する知識をテストして、というものだったと思います。こうなったときにテストのやり方も変えないといけないと思う。ペーパーではかれないのであれば、それを測れるテストも検討しないといけないし。
設計やコードの意図を問う試験
2点目は、司法試験からのアナロジーなんですが、プログラミング系の試験でも「意図を問う」ような試験が有効なのではないか、ということです。司法試験は、過去判例の「意図」と照らし合わせて正しく論理展開する力があるかどうかを問う試験。それと同様に、設計やコードの意図を説明させる試験が有効であるのではないかと思いました。論理展開という意味では、法律もプログラミングも変わりませんし。
もっと知りたかったこと
この本を読んでもっと知りたかったなあと思ったのは、資格勉強以外の勉強方法についてです。知識集約産業に属する人であれば、日常的にも知識をインプットしているはずで、それをどのようにやっているのかは知りたかった。
いずれにせよ、読みやすくわかりやすくためになる良書でした。
FutureWorks(やらないという意味ではない)
次は優秀なプログラマーの勉強方法について調べていきたいと思います。